大三国志 疾風迅雷史 001 徐目の儀
- ヒカル
- 2017年9月26日
- 読了時間: 2分
「香麗殿、参上仕った。」
「孔よ、よくぞ参った。徐目の儀を午の刻に行うゆえ、しばし城下などを御覧になられよ。」
「なるほど、わかり申した。では午の刻に・・・。」
魁本城の城下はまだまだ発展途上。『彩』と比べると見劣りしてしまう。
『魁』に属する将校の城下はまだまだ、村という感じだ。
『富国強兵』と言うぐらいだなんとかせねばなるまい。
しばらく、城下を散策をしている内に時刻は巳の下刻へと経ていたので、急いで本殿へと向かう。
「これはこれは、孔殿ではありませんか?」
「はて?どこかでお会いしましたかな?」
「本殿から出るのをお見かけしましてね。お声をかけようと思ったのですが、お急ぎのご様子だったので」
「なるほど、してあなた様は?」
「私、諸葛均と申します。」
「おぅ、そうであられましたか。そうとは知らず失礼した。」
「いえいえ、もともと官位の『王』はあなた様に与えられるはずと伺っております。」
「いやいや、滅相もない私には過ぎた官位でありますゆえ。」
「諸葛均殿、徐目の儀もありますし歩みませぬか?」
「あぁ、そうですね。急ぎましょう。」
本殿に入ると、宦官に案内されて座に誘導され席に着く。
全員が着席すると徐目の儀が始まる。
「これより、徐目の儀を行う。呼ばれた者は前へ」
「諸葛均前へ」
「諸葛均、『王』の官位を授与する。」
「ハ!」
「孔前へ」
「孔、『公』の官位を授与する。」
「ハ!」
「御前へ」
「御、『侯』の官位を授与する。」
「ハ!」
「和前へ」
「和、同じく『侯』の官位を授与する。」
「ハ!」
「楚日前へ」
「楚日、同じく『侯』の官位を授与する。」
「ハ!」
「官位を授与されなかった者、諸葛均、孔、御、和、楚日に続くよう願う。」
「では皆の者、私の後に範唱せよ。」
「『魁』に繁栄と栄光を!」
香麗の言葉の後に一同が「繁栄と栄光」と範唱した。
*読み方
諸葛均=しょかつきん
御=おん
和=かず
楚日=そいる
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